膵嚢胞性腫瘍のゲノムプロファイリング

膵嚢胞、特に粘液性嚢胞は、膵臓がんを引き起こす可能性がある前がん病変であり、追跡調査が重要です。 しかし、追跡調査の適切な方法とタイミングについて明確な医学的証拠が不足しているため、現在の追跡調査戦略は専門家の意見に大きく依存しています。 粘液性膵嚢胞は前がん病変として知られていますが、がんの発生率は1～5％程度です。 したがって、膵嚢胞患者の悪性疾患のリスクをより正確に予測できれば、悪性疾患のリスクが高い患者をより集中的にモニタリングすることができ、膵臓がんの早期発見による生存率の向上が期待できます。 また、悪性化リスクの低い膵嚢胞患者の追跡間隔を長くしたり、まったく追跡しなかったりすることで、不必要な医療資源の消費を削減することができます。 そのためには、現在、膵嚢胞のほとんどのガイドラインにおいて悪性化の危険因子として示唆されている膵嚢胞の画像特徴に加え、遺伝子変異などの新たなバイオマーカーや悪性リスク評価に基づく膵嚢胞の鑑別診断が必要である。 そこで本研究では、膵嚢胞患者の血液、膵嚢胞液、膵嚢胞組織を網羅的に解析し、膵嚢胞の鑑別診断や悪性腫瘍の診断に役立つ遺伝子変異を含むバイオマーカーを探索する。